ウエハ研磨工程から排出される金属シリコンは, その粒径が約240nmであり, その濃度は7.6wt%の懸濁液であった。この懸濁液に水酸化ナトリウム水溶液を添加してアルカリ処理すると, 金属シリコン1gあたり1, 870cm
3の水素ガスが発生した。この過程は次の反応式に従っていると考えられる。Si (s) +2OH
-+H
2O→SiO
32-+2H
2 (g) ↑
水素発生速度は, 金属シリコン濃度に依存しなかったが, 水酸化ナトリウム濃度が薄くなると減少した。アニオン性界面活性剤ドデシル硫酸ナトリウム (SDS) およびカチオン性界面活性剤セチルトリメチルアンモニウムブロマイド (CTABr) を懸濁液中に添加してアルカリ処理すると, 初期段階では水素発生が見られない誘導時間が観察され, 発生速度は大きく減少した。また, 水素発生量は無添加系に比べて5wt%SDSでは44%, 5wt%CTABrでは70%に低下した。
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