表面積の大きいシリカゲルに,極力希薄な濃度で[Fe(CO)
5]を担持したのち,室温でUVを照射しながら酸素を導入し,分解酸化をはかった。X線的には,超微粒状γ-Fe(CO)
3のみが検出された。しかし,数10K以下の低温で試料の磁化の急増が見られたこと,また液体ヘリウム温度でのMössbauerスペクトルでも内部磁場約470kOeを示す酸化鉄相が検出されたことから,超微粒状の,X線的に非晶質な,薪種酸化鉄が生成されたものと判断した.液体ヘリウム温度での超常磁性磁化の解析から,その粒子1個を構成するFe
3+ の数は,100をかなり下回わるものと推定した。[Fe(CO)
3]が低温で分解,酸化されγ-Fe(CO)
3が生成される過程での,超微粒状X線非晶質酸化鉄の役割について検討を加えた。
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