X線CTによる腹部大動脈石灰化の定量は動脈硬化症の有力な非侵襲的診断法である. 肥満度の指標として Body Mass Index (BMI) および臍部高での皮下脂肪の厚さをX線CTにより測定した値 (皮脂厚) を用い, 当院内科を受診した40~79歳の男性453, 女性392, 計845人について腹部大動脈石灰化指数 (ACI) と肥満度との関係を検討した.
1. BMI<20をやせ, 20~26を普通, 26<を肥満とすると, 男性ではやせでもっともACIが高く, 肥満で低く, 40~65歳の中年男性でその差は有意であった. 女性では一定の関係は認められなかった.
2. 男性では皮脂厚の薄いものはACIが高値を, 厚いものは低値を示し, 中年男性でその差は有意であったが, 女性では一定の傾向を示さなかった.
3. 60代の男女85人について内臓脂肪と皮下脂肪の比 (V/S) を測定し, ACIとの関係を検討したところ, バラツキは大きいが, むしろ男女ともV/S比の高い方がACIが低い傾向が認められた.
4. 更にBMIと皮脂厚, BMIと脂質, 脂質とACIの関係についても検討し, 肥満とACIの関係につき種々の考察を加えた.
抄録全体を表示