薬液注入工法は,既存構造物直下地盤の液状化対策として広く用いられているが,削孔穴からの薬液の漏出しによる注入損失や削孔壁の崩壊による注入阻害等の課題があった.本研究では,これらの課題を克服する薬液注入工法を開発した.同工法は,布パッカの内側にゴムを装着した地山パッカと削孔時には孔壁崩壊を防護し,薬液注入時には溶解する特殊シール材の二つの技術に特徴を有する.これらの新しい技術の導入により削孔穴からの薬液漏洩がほとんどない,地盤へ作用する注入圧力が低減できる等の効果が得られる.砂地盤を対象とした現地注入実験の結果,注入管周りからの薬液の漏れ出しがないこと,および従来のシールグラウト方式による薬液注入工法と比較して60%程度の注入圧で広範囲な浸透注入が可能であることが確認された.
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