近年,降雨予測や土砂災害発生予測技術に基づいた事前の災害リスクに関する詳細な情報の共有化や発信による災害リスクの軽減が求められている.これらを受けて,筆者らは多種の情報を集約させ,それらを目的に応じて組み合わせてわかりやすく配信する機能を有した枠組み(iHazard map プロジェクト)を提案している.本研究では,メタバース等のデジタル技術(DX)を有効に活用した防災ハザード・マップの高度化を目的に,効果的な運用方法について提案している.なお,一般住民がハザード・マップに求める要求について調査したところ「情報量」よりも「見やすさ」や「使いやすさ」が特に重要視されていることが分かった.さらに,住民への土砂災害に関する説明会において,筆者らが提案する技術を実践的に導入したところ,これらの有効性が確認された.
近年,再生可能エネルギーの導入が世界的に進んでいる中,我が国における風力発電事業の推進は重要な使命の一つである.その際,事業に関係するステークホルダーや地域住民等と合意を図ることは必須であり,特に,事業によって生じる環境変化の予測やそれらの可視化は重要な技術的課題である.一方,PLATEAU建物等のデジタル技術を活用したBIM/CIMの有効活用が期待されている.本稿では,近年のメタバース技術を活用した可視化資料による事業説明の手法等について提案している.なお,効果的な合意形成を図るため,多大な仮想空間情報を円滑に更新できるシステムを提案した.また,これらの可視化技術を活用して,発電施設設置に伴う影の影響予測結果や施工方法等に関する説明手法について提案した.さらに,事業者等へのアンケートヒアリングにより,これらの可視化に関する有効性について示唆された.
すでにアカウントをお持ちの場合 サインインはこちら