症例は55歳女性.健診で胸部異常陰影を指摘され,精査加療目的で当院に紹介受診となった.胸部CT検査にて左肺S6に10 mm大,右肺S10に8 mm大,左肺S10に5 mm大の境界明瞭で内部均一な円形結節影が認められたが,3ヵ月後にいずれも軽度縮小傾向を示したため炎症性変化と判断し経過観察とした.その後それらは性状に大きな変化なく経過したが,初診時から2年目に左肺S6の結節影が増大し,またこの部位にのみFDG-PETで軽度異常集積も認められた.悪性腫瘍の可能性も否定しきれなかったためその腫瘤に対して胸腔鏡下肺部分切除を施行したところ,38歳時に切除された子宮筋腫の組織像と類似しており,良性転移性肺平滑筋腫と診断された.良性転移性肺平滑筋腫は比較的まれな肺腫瘍性病変であり,一過性の消長という特徴的な所見を呈した症例と考えられたため文献的考察を加えて報告する.
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