子宮内膜症が女性生殖器以外にみられることは比較的稀である.今回,極めて稀な臍部子宮内膜症の1例を経験したので報告する.
患者は2回経妊,経産の45歳女性で,臍部腫瘤を主訴として来院した.腫瘤は示指頭大で硬く,褐色の色素沈着がみられ,月経時に発赤,圧痛を伴っていた.臍部子宮内膜症を疑い,腫瘤摘出術を施行した.摘出標本は弾性硬, 20×20mmで,割面は灰白色,充実性であり,組織学的に子宮内膜症と診断された.術後スプレキュア投与にて経過観察しているが, 1年の現在,再発は認めていない.
臍部子宮内膜症は全子宮内膜症の0.3~3.0%の頻度であり,本邦では自験例を加え42例と極めて稀であるが,女性に発生した臍部腫瘤では子宮内膜症が最も多い.従って,女性の臍部腫瘤を見た場合,まず子宮内膜症を疑い,月経周期に一致した症状の有無などの問診を詳しく行うべきである.
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