消化管 (食道・胃・大腸) に発生した同時性早期3重複癌に対し, ポリペクトミーおよび手術にて切除しえた症例を経験した. 症例は59歳の男性. 胃集団検診の精査のため来院. 食道に0-IIb+IIc, 胃にO-IIc, 大腸にポリープ癌が判明した. 大腸病変はポリペクトミーされ深達度mのfocal carcinomaで, 食道病変は内視鏡的に粘膜切除され深達度mm3の癌であり, 根治性を考慮し胸部食道全摘, 細胃管による再建および3領域郭清を施行した. 胃癌は切除側に含まれ深達度mであった. 文献上検索しえた限り, 消化管に発生した食道・胃・大腸の3重複癌症例は自験例を含めて14例で内, 早期3重複癌は2例で, 1例は異時性であり, 同時性は自験例のみと考えられた. 近年, 診断技術の進歩の向上と患者の高齢化により重複癌症例が増加しており, 重複癌の存在と発生を念頭においた検査が重要である. また, 早期発見により侵襲の少ない内視鏡的治療も可能となってきている.
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