今の患者用手
術衣
(以後,
術衣
とする)は,袖がない着
物式で,着脱が容易であり,胸元が大きく開いているため
ナース側からも患者の皮膚の観察がしやすい。しかしその
為に歩行入室時,患者より「寒い」という声が多く聞か
れ,病棟看護師からも
術衣
のみでの入室に反対の意見も
あった。
今回,歩行入室に適した
術衣
,特に羞恥心の軽減と保温
効果のある
術衣
の改良を試みたいと考え,アンケートを
行って,改善点を抽出し,新しい
術衣
を試作した。その結
果,現在の
術衣
の着用後のアンケート結果は,「寒い」と
答えた患者は2名,試作品の着用後の結果は5名であっ
た。この結果だけを見ると悪くなっているように見える。
しかし,現在の
術衣
のアンケートを取った時期が8月~9
月の暑い時期で,試作品の時期は10月と季節の変化で寒い
時期に取った為,結果を比較することはできなかった。
また,羞恥心については,スタッフのアンケート結果か
ら現在の
術衣
のみの着用では「恥ずかしい」という意見が
圧倒的に多かった。女性の患者からも,もっと「恥ずかし
い」という意見が多いと予想していたが,2名に留まり,
試作品では0名と,あまり結果に差がなかった。これは,
術衣
の上から病衣を着てきたためと思われる。
術衣
を着せ
る側のスタッフとしては,露出が多く肌の保温に欠けた術
衣であると考えていることがわかる。しかし,試作品で0
名になったことは,改良したことに意味があったといえる。
全体的にアンケート結果をみると,改良前と改良後のど
ちらにも言えることとして「何も感じなかった」という意
見が多かった。これは手術を受ける患者にとって
術衣
より
これから受ける手術のことで頭がいっぱいで,不安であ
り,着るものにまで気がまわらないということだと思う。
このことは,「その他」の質問に書かれていた意見の1つ
にもあり,手術を受ける患者全体の気持ちであるといえ
る。笹崎は「手術室看護師としての役割を患者に伝えるこ
と,さらに感情を表出できる状況を整えることが重要であ
る」と,述べている。私達手術室看護師も,手術を受ける
すべての患者が少しでも安心して,気持ちよく手術に臨め
るよう環境を整える必要があると感じた。その1つの手段
として改良した
術衣
の実用化が出来たのはよかったと思う。
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