臨床的に肺子宮内膜症と診断し,約3年間喀血を繰り返した症例に芎帰膠艾湯による漢方治療が著効したため報告する。症例は30歳女性。27歳時から月経周期に一致して血痰が出現し繰り返すため受診した。喀血時の胸部 CT と気管支鏡検査で左下葉 B6気管支からの出血を認め,臨床的に肺子宮内膜症と診断した。以降約3年間月経毎に喀血を繰り返し,多い時は中等量喀血を認めた。20XX年2月に頻回の喀血が数日間続く状態となり,血虚・虚寒を認めたため芎帰膠艾湯を開始した。3月の月経初日から3日間,4月の月経2日前から5日間内服したところ,いずれの月も少量喀血が1回のみとなった。以降の内服は終了したが妊娠が成立するまで1年以上の間,一度も喀血を再発することなく経過した。西洋医学的な肺子宮内膜症の治療は内分泌療法・外科的治療とされているが,衝任虚損・虚寒証を伴う肺子宮内膜症に対しては芎帰膠艾湯が奏功する可能性が示唆された。
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