微小で脆い結晶の熱電能を測定するための実験技術をデータ補正の方法も含めて解説した。試料の典型的な長さは0.5~1.5mmである。この方法によって試料の絶対熱電能を4.2-300Kにおいて比較的容易に決定することができる。また,同様の方法はより高温への応用も可能である。有機ドナー分子から成る擬一次元的伝導パスを2種類持つ有機伝導体,(DMET)
2ClO
4(DMET=dimethyl(ethylenedithio)diselenadithiafulvalene)とその類似体の相転移の研究における本熱電能測定法の適用例を紹介した。
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