【目的】発達障害が疑われる児に対する検査では障害特性への配慮が必要である。当院では眼科検査用「絵カード」や「見通し表」を作製・使用しており、今回はその使用前後での変化を定量的に評価できるか確認したので報告する。
【対象および方法】対象は2018年5月から2020年5月までに当院を受診し、発達障害疑いのため「絵カード」や「見通し表」を使用した14例(男児11例・女児3例、平均年齢6.4±2.7歳)。他覚的屈折検査、視力検査距離、レンズ交換枚数、片眼遮閉方法、眼位検査の指標を作成し、検査の達成度を点数化した。各評価項目の達成度と合計点を「絵カード」や「見通し表」の使用前後で比較した。達成度のレーダーチャートを作成し、保護者に聞き取り調査を行った。
【結果】使用前後で達成度に有意差があった項目は、他覚的屈折検査、レンズ交換枚数、眼位検査であった(p<0.05)。有意差がなかった項目は、視力検査距離、片眼遮閉方法であった。また、達成度の合計点が有意に向上した(p=0.003)。聞き取り調査より達成度をレーダーチャートに示すことについて、わかりやすい等の意見が得られた。
【考按】達成度の点数化により「絵カード」や「見通し表」の使用前後での変化を定量的に評価できることが確認できた。達成度をレーダーチャートで可視化することで視能訓練士だけでなく患児や保護者にとっても検査の達成度が目で見てわかりやすくなることが示唆された。
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