■歴史的資源を活用した観光まちづくり
バリューマネジメントは「日本の文化を紡ぐ」を理念とし,文化財をはじめとした,日本全国の歴史的資源,古い町並みや城などを活用し残していくことを事業としています。
民間や個人,企業や行政,または神社仏閣が保有している歴史的資源は,これまで税金を活用して保全されてきましたが,限られた税収,人口減少などの課題を抱え,保全することが困難になってきました。そのため,このまま放っておけば無くなる可能性がある価値の高い歴史的資源を,保全と活用を前提とした修復し,コンテンツに仕立て,新たな価値を作ることで,民間主導の保全事業を行なっています。
例えば,分散型ホテルという新たなモデルをまちに展開。これは,まち全体をホテルに見立て,まちにある様々な価値ある歴史的建造物をホテルの一部として修復します。ある建物は客室,ある建物はフロントやレストランというように,必要な機能を追加していきます。建物をそのまま活用するため,まち並みは保存され,「訪れるまちの暮らしに溶け込んで過ごす」ことを実現するものです。この分散型ホテルに魅力を感じていただき,旅の目的地となることで人が集まり,まちの賑わいを取り戻していきます。訪れた人がまちのファンになり,必要性が生まれることで,まちの保存だけでなく,まちの活性化に繋がる「歴史的資源を活用した観光まちづくり」へと繋がっていきます。まちの持続可能性をつくり,文化が紡がれていくことを目指しています。
■EOの活動について
Entrepreneurs’ Organization「
起業家機構
」は,1987年にアメリカで設立された年商100万ドルを超える会社の若手起業家の世界的ネットワークであり,現在62か国10地域219チャプター,約15,000名のメンバーにより構成されています。日本はノースアジア地域に所属しており,私はノースアジア地域,日本エリアディレクターを務めています。日本エリアでは,創業者且つ年商100億円以上の起業家や,創業者且つ上場起業家が多く所属しています。
起業家とは経営者の中でも特殊であり,一般的に経営資源は大企業が圧倒的に有利の中,一から起業し自らがリスクを背負う中で,社会的意義を見出し,新たな市場を切り開いていきます。しかし,それは言葉では表せないほど大きなリスクとの戦いでもあります。そのため,EOでは起業家同士が守秘義務ルールのもと,互いの経験シェアを行い,互いを認め成長を支援するプラットフォームが築かれています。その精神は,EOが掲げる「目的・志・価値観」にも表れています。
また,経営ではマネジメントが非常に重要ですが,社会で価値を出すためにはリーダーシップが必要とされます。EOメンバーには上下関係がないため,利害関係の無いEOメンバーの中で組織を作り,社会への影響力を発揮することは,正に社会におけるリーダーシップを経験する場となっています。
■略歴
2005年バリューマネジメント株式会社設立,代表取締役に就任。文化財など伝統的建造物,行政の遊休施設の修復運用や,ホテルや旅館,結婚式場などの施設再生を行う。「施設再生から地域を活性化に繋げ,日本独自の文化を紡ぐ」がテーマ。グローバル起業家団体 EO OSAKA(Entrepreneurs Organization)元会長。地域づくり活動支援組織 地域資産活用協議会(Opera)副会長。婚礼業界活性化組織 次世代ブライダル協議会代表理事。内閣官房観光戦略実行推進室 歴史的資源を活用した観光まちづくりユニットメンバー。
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