当院では, 脳神経外科の要望により, 院内特殊製剤「人工髄液」を調製することとなった。人工髄液とは, 人の髄液に類似した組成になるように無菌的に調製した水溶液である。薬剤部では, 人工髄液の調製にあたり, その安全性を考え, PL法 (製造物責任法) をあらためて見直し, 検討した。PL法解釈上の製造物の欠陥には, 設計上の欠陥, 製造上の欠陥, 指示・警告上の欠陥等があると考えられている。そこで, それぞれに対応して調製計画書の作成, 調製環境の充実, ラベル及び院内特殊製剤添付文書の作成を行った。その結果, 調製者によらない同品質の製剤化, 細菌・埃等の混入の防止, 使用法及び調製法の間違いによる事故防止・情報の一元化による医薬品の適正使用の推進に寄与できた。薬剤師としてあらためて, PL法を勉強してきたことを通じて, 調製計画書, ラベル及び院内特殊製剤添付文書を作成したことは, 今後の院内特殊製剤の適正使用を進める上で大変役立った。今後は, 効果, 副作用, 製剤の改良点等を再評価し, 処方, 調製法へとフィードバックし, さらなる人工髄液, 院内特殊製剤の適正使用に努めていきたい。
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