近年,肥満が原因となる糖尿病の発生が犬の生活習慣病として問題視されている。免疫細胞は様々な因子によって機能を調整されているが,インスリンは糖の取り込みを促進するホルモンであるが,Tリンパ球の反応を強め,免疫機能活性に関与していることが指摘されている。そこで加齢性変化に伴うTリンパ球のインスリンの反応性の違いを明らかにする目的で,健康な犬のリンパ球を用い,インスリン添加下でのリンパ球幼若化反応およびreal time PCR法によるIL-2,IL-4,IL-10,IFN
YmRNAの発現量を解析・比較した。試験対象にはビーグル犬を用い,1から3歳までを1群,4から7歳までを2群,8歳から12歳までを3群として,コンカナバリンA(ConA)によってリンパ球を刺激培養した。全ての群で,インスリン加ConA培養におけるリンパ球のIL-2,IL-4,IFN
YmRNA発現量はConA単独に比べ高かったものの,IL-10mRNA発現量は低下した。また,3群のインスリン添加によるIL-2およびIL-4mRNA発現量は,1群および2群に比べ低かった。このことから健康な犬では加齢にともない,インスリン刺激によるT細胞のサイトカイン産生が低下するものと考えられた
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