現在,多くの湖沼で水生植物群落が激減している.一方,ハスなど水生植物の中には生育面積を拡大させている種も存在し,これらの植生の変化に伴い,湖沼底質の泥化や浅底化の進行が懸念されている.しかし,ハス由来有機物の残存量に関する知見は少ない.そこで,ハスのリターに含まれる難分解性有機物が底質環境に及ぼす影響を評価することを目的として,ハスの分解実験および伊豆沼の現地調査を行った.733日間の分解実験のデータに対して,Multi-Gモデルを適用した結果,好気条件下で残存する粒状有機物の割合は約35 %,嫌気条件下で約58 %を示した.また,長期の分解実験および現地の底質コアサンプルの分析の結果,LCFAs/全脂肪酸比を用いることで粒状有機物の難分解性を推定できる可能性が示唆された.
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