われわれは,青森県各地のスギ花粉飛散開始時期や飛散数の観測,予測を行ってきたが,必ずしも予測が的中するわけではない。そこで,予測精度の向上を目的に,過去26年分の観測データから青森県各地のスギ花粉飛散開始日と総飛散数の推移,ならびにスギ林の着花指数と総飛散数の関連について検討を行った。
1996年からのスギ花粉飛散開始日と総飛散数の推移については青森県主要3都市(青森市,八戸市,弘前市)で検討し,総飛散数と着花指数の相関は青森県内5都市で比較検討した。その結果,青森県主要3都市の飛散開始日の有意な早期化と八戸市と弘前市における総飛散数の有意な増加が認められた。青森県内各地の総飛散数と着花指数については,概ね有意な関係性が認められたが,一部の地域では少なかった。その原因としてスギ林と花粉観測地の位置,その時期の風向きの影響などが考えられ,より正確な総飛散数予測のためには,着花指数の算定地域の選択が重要と考えられた。
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