本報告においては, 辰巳ダム計画における葛藤の推移を分析し, 葛藤管理の重要因子を抽出した。葛藤が上昇し膠着している時期は, 当事者の間に対話の場がなかった。さらに, 技術的な争点が明瞭でなかったことを指摘できる。葛藤管理に関する社会的・技術的要因の分析から, 「地域の歴史と伝統」という統一概念の導入と既存の2貯水池を含む革新的な流域管理体系の樹立が, 葛藤の安定化をもたらしたと結論づけられる。これに基づき, 辰巳ダム計画における教訓から, 葛藤管理において普遍的に重要である因子を明らかにした。
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