ロックウール栽培したトマト植物体へ各種Ca剤を葉面散布し,尻腐れ果の発生を抑制する効果について比較した.葉面散布剤として,キレート効果をもつ植物抽出成分(PE),PEにCaを添加した薬剤(PE-Ca),PE-Caにショ糖脂肪酸エステル(SE),Fe,Znあるいはキシロースを添加したもの,および無機塩のCaCl
2•2H
20およびCa(NO
3)
2•4H
20を用いた.
SEあるいはZnをPE-Caに添加して葉面散布した場合に,統計的に有意な尻腐れ果発生率の低下が認められた.また,これらの処理による正常果収量の増加が認められ,果実品質の劣化がないことから,Ca剤へZnあるいはSEを添加して葉面散布することにより,尻腐れ果発生を抑制できる可能性が示唆された.
幼果のCa濃度は果実の肥大に伴い急速に低下し,尻腐れの症状が現れ始める新鮮重約20g付近で最も低い値となり,尻腐れ果では特に低い値を示した.幼果のK/Ca比および葉のCa濃度と尻腐れ果発生率との間に一定の関係はみられなかった.
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