1990年代から、三重県にも製造業の担い手として多くの日系外国人が住むようになった。当初は短期間のデカセギのつもりだった彼らも、子どもが日本に適応し、学校で学ぶようになると、定住の道を選ぶ人も多くなった。
日本の教育制度や教育事情をよく知らない家庭で育っている子どもや保護者のために、外国人が集住する自治体では教育委員会が進学ガイダンスを開催している。三重県キャリアガイド出前セミナー事業は、三重県が外国人を「住民」という視点から実施する施策で、この事業に先立ち、県はキャリアガイドDVDを2枚作成した。
NPO法人愛伝舎は、2012年度から2年続けてこの事業を受託している。当事者である子どもや保護者にだけではなく、教育関係者、地域社会に向けて民生委員・児童委員の方々、企業・産業界の学習会、社会福祉関係者など、多様な立場の方々を対象にしてセミナーを開催している。
セミナーでDVDを視聴し、講師に自分や家族の経験や思いを話してもらうと、参加者は深い共感や理解を示した。地域社会の広い層への発信を通して、多文化共生の道が開けていくことを実感している。
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