イントネーションの文体的機能の一つに「あおりの文体的機能」が存在する。あおりの場面は通常の会話と異なり、大勢の人の反応をうかがいながら話す。本研究では、これを音声学的文体論の立場から「あおり音調」と命名し、ライブMC のあおりを分析した。あおりの特徴である音調を含むプロミネンスや発話速度等の相関性を検証し、ライブMC におけるイントネーションの文体的機能についての解明を試みた。本研究で得られた結論は次の通りである。上昇音調を用いることは多いが、あおりの要因の一つに過ぎず、発話の内容次第では下降のあおりも可能である。プロミネンスだけではなく、マイクを通さない「生の声」という強調がされることがある。また、それぞれの特徴が相互に現れることで、あおりは現れる。
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