ホリヴィニルアルコール水溶液にNa
2SO
4-ZnSO
4や, Na
2SO
4-MgSO
4の様な2種の鹽類を同時に加えて凝固させた場合鞭鹽の凝固作用と混合鹽の夫れとの間には加成性が成立する。ところがポリヴィニルアルコール水溶液に豫めアセトン又はアルコールの造當量を加えて置き, 少量の鹽類の添加で凝固が起る様にすると, 2極鹽類の凝固作用の間に拮抗作用がみとめられる。
ポリヴィニルアルコールーゾルの電解質に依る凝固に關しては
長井氏
が各種の電解質について詳細に研究せられ, その凝固能力を比較考察しているが, 凝固に2種の電解質混合物を用いる場合に關しては未だ報告はない。
コロイドの2種の電解質混合物に依る凝固に關してはFremdlich, Schol, Weiser等の研究がある。とれ等の結果に依ると, 金ゾル, 硫黄ゾル等の疎水性ゾルの場合には用いた2種の中性鹽の凝、固能力間には加成性が成立するが, Odén氏硫黄ゾルやAs
2S
3の様な親水性ゾルに於ては, 用いた2つの鹽の作用は加算的てなく, 例えば1便イオンが共存するときは2便イオンの働きが著しく弱められ, 所謂イオン拮抗作用がみとめられる。
然しこのAs
2S
3ゾル等は親水性ゾルと云われているものの凝固には主として荷電の中和が問題になる様なコロイドであり, ポリヴィニルアルコールの様な典型的な親水性ゾルの2種鹽類に依る凝固に就ては未だ詳細な研究は無い檬である。
抄録全体を表示