温州ミカンの果実の呼吸を, 果皮を通してのO
2, CO
2などのガス移動現象と考え, 定常法, 非定常法の2方法で果皮のガス透過性の難易を示すガス透過係数の測定を試みた. 結果の概要は次の通りであった.
1. 温州ミカン果皮自体の排出するCO
2を利用して, 果皮中におけるCO
2のガス透過係数の定常的測定を行なった.
(1) 果皮全体の呼吸量の92%がアルベド側へ排出されることから, アルベド側へ排出されるCO
2量は,1975年11月14日, 12月15日の試料につき, 単位時間, 単位面積当り, それぞれ1.43×10
-2, 2.41×10
-2[cm
3/cm
2/hr] であった (第3図, 第4図).
(2) 果皮とプレートに挾まれた空間のCO
2濃度は,時間の経過と共に上昇し, 実験開始後10時間以上経過すると平衡状態に達した. 18~20時間経過時のCO
2濃度をもって平衡濃度とし, 11月14日, 12月15日の試料につきそれぞれ4.7, 8.0[%] の値を得た (第5図).
(3) (1), (2) の結果と (1) 式を用いて, 温州ミカン果皮のCO
2のガス透過係数を算出し, 11月14日,12月15日の試料につきそれぞれ11.3×10
-4, 11.5×10
-4[cm
3/cm/hr/cmHg] の値を得た (第1表).
2. 非定常法によって果皮中におけるCO
2, O
2, N
2のガス透過係数を求めた結果, それぞれ8.9×10
-4, 5.2×10
-4, 4.7×10
-4[cm
3/cm/hr/cmHg] となり, ガス透過係数は大きい順にCO
2>O
2>N
2であった? (第1表).3. プレート上に伏せた半球状果皮のアルベド側に封入したガスと異種のガスをフラベド側に流気させたとき,果皮両側間に生じる圧力差を述めた結果, CO
2, O
2, N
2のガス透過係数は, 大きい順にCO
2>O
2>N
2であることが確認された (第8図).
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