29名の分裂病者に, 平均5年2カ月の間をおいてロールシャッハ・テストの再テストを行ない, 初回のテストと再テストの内容の変化を検討した。その結果, 人間運動反応, 人間反応, 形態水準, 修正BRSに関して有意な低下がみられ, 精神分裂病の長期経過による精神内界の貧困化が認められた。しかし, 反応数や初発反応時間には有意差はみられず, 陰性症状としての人格荒廃がロールシャッハ・テストの反応性の低下として現われるとする従来の研究に批判を加えた。本研究では, 人格の荒廃は反応の量的側面の遅鈍化よりも質的な側面での低下として現われることが明らかにされた。
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