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クエリ検索: "駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法"
4件中 1-4の結果を表示しています
  • 熊本 博之
    平和研究
    2024年 61 巻 1-22
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/02/15
    ジャーナル フリー

    「1980年代の沖縄-平和と自立、内発的発展の展望」をテーマとして1979年に沖縄で開催された日本平和学会研究大会において、沖縄の報告者たちは、沖縄の民衆への視点が欠落した、沖縄不在の議論を行う本土側のオピニオン・リーダーたちを痛烈に批判した。平和学会はこの批判を受け止め、沖縄ローカルの視点を尊重した議論を行うことで、「自立」概念の深化を成し遂げた。にもかかわらず沖縄の政治的現実が変わっていないのは、自立と平和が無条件に結びつけられてしまっているからだ。そこで本稿では、沖縄に「平和」を実現するためには、どのような「自立」が求められるのか考察を進めた。

    まず沖縄が「決定権限なき決定者」であることを、普天間基地移設問題の経緯を振り返ることで明らかにし、そのことが沖縄県民の間に一定の「あきらめ」を生んでいることを、県民意識調査の結果から示した。しかも日本社会の多数派が、沖縄を「決定権限なき決定者」にさせてきた日本政府の姿勢を容認しており、沖縄と本土の溝が広がっていること、そしてこれらの背景に新自由主義的価値観の蔓延と、その結果としての民主主義の機能不全があることを示した。

    この状況を打開するためには、沖縄の声を政治に反映させるための体制をつくりあげなければならず、そのためには新自由主義を押し進めてきた企業家や官僚、政治家などのテクノクラートたちに抗い続けることが必要である。それは日本社会の、そしてオピニオン・リーダーたちの集まる日本平和学会の責務である。

  • ―1990年代後半以降の普通建設事業に係る資金配分を中心に
    平敷 卓
    財政研究
    2009年 5 巻 335-353
    発行日: 2009年
    公開日: 2022/07/15
    ジャーナル フリー

     本稿では,近年の沖縄県市町村財政において,国庫補助負担金改革,公共事業削減の過程で生じつつある財政格差の様相を国庫支出金の交付状況,特に公共事業に係る市町村の普通建設事業費支出金及び歳出面での普通建設事業費の動向から明らかにする。

     そして,本分析を通じて,1990年代後半以降の基地移設関連に伴う財政措置は沖縄県北部市町村への普通建設事業費支出金の配分を高める一方で,離島市町村との格差を拡大させつつ展開したことを明らかにする。また2000年度以降,比較的財源に余裕がある基地所在市町村においても,普通建設事業費への国費充当率を一層高めており,基地政策関連の財政措置への依存を深めている。このことは従来,補償的な意味を持つ自治体への基地関連支出が,基地所在市町村において財源保障的な意味を強めつつあること示唆している。そして,県内市町村間の格差の主要因となっていることを明らかにする。

  • 熊本 博之
    環境社会学研究
    2008年 14 巻 219-233
    発行日: 2008/11/15
    公開日: 2018/12/18
    ジャーナル フリー

    普天間飛行場の代替施設の建設予定地である名護市辺野古(へのこ)区は,1959年に米軍基地キャンプ・シュワブを受け入れた。以来,辺野古の社会構造にはシュワブが深く埋め込まれていき,それゆえに現在辺野古は,新たな米軍基地の受け入れを拒絶することができずにいる。本稿では,環境正義の観点から,この辺野古においておきている問題を描出していく。

    環境正義には,環境負荷の平等な分配を要請する分配的正義としての側面と,環境政策の決定過程への地域住民の民主的な参加を要請する手続き的正義としての側面とがある。本稿では分配的不正義が手続き的不正義を地域社会にもたらし,そのことがさらなる分配的不正義を地域社会にもたらす「不正義の連鎖」が辺野古において生じていることを明らかにした。また,手続き的正義を,制度レベルと行為レベルとに区別し,行為レベルでの手続き的正義を地域社会において実現することが最優先されなければならないことを指摘した。

    なお「不正義の連鎖」の描出は,分析概念として環境正義を捉えることで可能になった。

  • 林 公則
    環境社会学研究
    2019年 25 巻 18-34
    発行日: 2019/12/05
    公開日: 2022/10/18
    ジャーナル フリー

    本稿では,軍事と財政・金融の密接な関係性を軍事財政論や日本経済論の成果から明らかにしたうえで,日本政府による基地維持財政政策の主要な対象となってきた沖縄で 2015 年に立ち上げられた辺野古基金の意義を考察している。沖縄県内外の多人数の資金的援助(寄付)を通じて辺野古移設反対運動を支えようというのが辺野古基金の取り組みである。

    税金を資金源とする各種の政府活動は軍事も含め,国家全体の公益のために実施されることになっている。にもかかわらず公共の利益のためとされている活動が軍需産業によって資本の利益に置き換えられていたり,自然環境や生活環境を破壊し各種の被害を出す軍事基地が各種補助金によって非民主主義的な形で維持されたりしてきている。また預貯金を中心とする日本の現在の金融システムも,軍事関連産業の発展のために利用されてきた。資金の出し手(納税者や預貯金者)と資金の受け手(軍需産業や基地受け入れ自治体など)との無関係性が,軍事優先の国家安全保障や辺野古新基地建設を推進することにつながっている。

    辺野古基金は軍事による国家安全保障政策への,寄付を通じての市民による異議申し立てである。そして,軍事を国家の専管事項にしないための取り組みである。軍事は中央集権的な財政・金融で 進められてきた。一方で,辺野古基金は寄付を含めた金融が市民関与の新たな可能性であることを 示しているし,中央集権的な財政・金融よりも正当性を有する可能性を示している。

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