本研究の目的は、保育施設に広く設置されている固定遊具のひとつである「すべり台」が、我が国におけ る最初の幼稚園が創設された1876(明治9)年頃より現在まで、どのようにして保育の場に位置づけられて きたのかを検討することとする。その方法として、各地の保育所・幼稚園の記念誌や沿革史などに記録され た写真資料や、当時の保育用品カタログ資料を分析した。すべり台の設置は、保育に関連する施設の設置基 準に位置付けられる前より、園の遊具として広く取り入れられていた。すべり台が保育施設に浸透した要因 には、幼稚園や保育所の設置基準の変化、保育用品の開発や社会情勢の変化などがあることが示唆された。
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