本稿では,まちづくり活動において,子どもたちが経験する人々との交流や活動地域を拡げていく点について,高知市のこどもまちづくりファンドの影響を中心に検討した.研究の結果,子どもたちがまちづくりに参加することで,子どもによって好意的に意味づけされた場所,子どもが体験する場所,子どもの活動をきっかけとした世代間の繋がりが認められた.子どもにとってのまちづくりとは,人との交流を意味していることから,身近な地域をはじめとする様々な場所に,自ら積極的に出向いていく.そのため,これまで接することのなかった場所や人と関わることで意識できる場所が拡がっていく.その活動を支援する大人たちは,まちを良くしたいという子どもの思いや可能性を重要視するからこそ,立場や世代を超えた生産的な関係が醸成される.このように,子どものまちづくり活動には,関係する多くの人々の交流を促進することが明らかになった.
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