戦災によって変貌した東京の風景を記録する目的で野田宇太郎は文学散歩を始めたが,その取組みは読書会の一環として図書館でも実施されてきた。しかし,「文学散歩」は時代によって異なる使われ方がされるため,その意味が一意的に定まらない用語でもあった。本研究では野田と図書館による文学散歩関連図書を整理し,各時代の文学散歩の開催目的と特徴の変化を明らかにした。文学散歩友の会,地域資料の活用,ウィキペディアタウンなどと関連しながら,今日の文学散歩は「語る」ことでまちの文学情報を公共財に変える仕組みへと発展した。
抄録全体を表示