俳句に詠み込まれた音環境を, 統計的に分析することで, 日本のサウンドスケープの時代変遷を調査した。日本におけるサウンドスケープの変化は, 江戸時代から昭和にかけては緩やかであったのに対し, ここ十数年の変化は急激であり, その変遷の内容は, 自然空間のサウンドスケープから人間の生活音によるサウンドスケープへというものであることが分かった。更に, 日本の音文化には, 音を季節の象徴として敏感に読みとり, そこから情緒を感じるというものがあったが, 時と共に, そのような文化が廃れていきつつあるということが示唆された。しかし, 寺の鐘や祭の音などによる, 社寺仏閣によっわるサウンドスケープは, 時代変遷の影響をあまり受けていない。
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