本稿の目的は,「非先進国(発展途上国)」の政治経済モデルとして最も代表的なものである,「開発体制国家」モデルをベンチマークとして,中国経済を「非先進国経済」の一つとして類型化を行うことである.市場経済の下で高成長を遂げる中国は,従来の「開発体制国家」モデルといくつかの前提を共有しながらも,その産業構造や技術進歩のパターン,さらには国家と経済活動との関係など,重要な点で大きな違いを見せている.本稿では,そのような中国経済の「型」を,「分散型の開発体制」と名付け,国家と社会との関係,市場競争の歴史的な特性,グローバル経済における位置づけなど,いくつかの観点から検討を行う.
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