ジストニアは症状の部位により全身叱局所性,分節性に分類される.脳神経外科医にはなじみのない稀な疾患と考えられているが,実際には多くの患者が存在し,薬剤治療の効果は低く,患者の多くが有効な治療を受けていないのが現状である.近年,全身性ジストニアには淡蒼球内節の凝固や刺激が画期的な効果を示すことが見出された.従来,副神経血管圧迫によると考えられた痙性斜頸の大多数は,局所性あるいは分節性ジストニアの一つで,ボツリヌス毒素治療が第一選択である.しかし,難治例では選択的末梢神経遮断術が最も有効で安全な外科治療である.ただし痙性斜頸で広範囲の頸筋が侵され,不随意運動が激しい場合は淡蒼球手術も適応となる.書痙も大半が心因性ではなく局所ジストニアと考えられており,視床Vo核手術の効果が注目されている.このように各種のジストニアは脳神経外科治療によってのみ効果がある場合が少なくなく,脳神経外科医がジストニアという疾患の概念とその治療について無視することはできない時代となっている.
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