バラRosa hybrida Hort.'ブライダルピンク'切り花を, 20℃の部屋で, 連続暗黒, 連続照明, あるいは12時間照明, 12時間暗黒を繰り返す24時間の光周期のもとで水にいけ, 切り花生体重, 蒸散速度, 吸水速度, 花弁の水ポテンシャル, 開花段階を4時間間隔で測定した.暗黒下では, 蒸散速度, 吸水速度とも1g・100gfw
-1・hr
-1前後を低く推移して, 3日間にわたって蒸散速度が吸水速度を上回ることはなかった.その結果, 切り花生体重は徐々に増加していった.水ポテンシャルは, -0.2MPa前後を推移したが, 7時以降の午前の時間帯にやや低下する傾向にあった.連続照明下では, 恒常条件下であったにもかかわらず, 蒸散速度, 吸水速度が増減を繰り返し, 昼間の時間帯に高くなる傾向にあった.3日目の7時以降, 蒸散速度が吸水速度を上回るようになって, それまで増加し続けていた切り花生体重が減少に転じた.花弁の水ポテンシャルは, 昼間の時間帯に低下し夜間の時間帯に回復する変動を繰り返しながら, 全体としては低下していった.開花は, 暗黒下より速く進行したが, 早朝の時間帯に開花段階が進む傾向は同じであった.フーリエ解析の結果, 連続照明下でいくつかのパラメータに24時間を周期とする周期性が検出された.明暗24時間の光周期下では, 蒸散速度, 吸水速度が明らかに光周期に同調しており, 暗期に低く, 明期に入ると上昇するという変動パターンを示した.また, この上昇のピークは3回目, 4回目の明期で最大となった.4回目以降の明期では, 蒸散速度が吸水速度を上回るようになって, 切り花生体重はこれ以降明期に低下, 暗期に上昇するという変動パターンを繰り返しながら, 徐々に減少する方向に向かっていった.花弁の水ポテンシャルは, 当初より明期で低下, 暗期で上昇する変動を示し, やがて明期開始とともに急激に低下するようになり, 暗期に回復しなくなった.第1∿2日目を除き, 花らいの開花は, 明期開始直後にのみ進行した.
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