当院では, 透析患者にできるだけ負担のかからない透析をするために, 特に血流量と小分子除去率に着目してノモグラムを作成し, 透析量を決定してきた. その結果BUNの除去率が60-65%のとき, 臨床症状の発現頻度が最も少なく, この除去率をもとにしてurea kineticsによる, kt/v, pcr, TACを求めて検討した.
対象は透析患者125名中, DM, SLE等を除く91名である. Urea kineticsの重要なパラメータ (kt/v, pcr, TAC) について統計的解析を行い, また新たなノモグラムを作成するために, 単位体重当りの膜面積 (X) と血流量 (Y) およびkt/v (Z) による重回帰分析を行った.
kt/vはpcrと正の相関を示し (r=0.498), pcrはTACと正の相関 (r=0.737) を示した. しかしkt/vとTACの間には相関が認められなかった (r=0.110).
重回帰分析の結果は, Z=-20X+0.428Y+0.11で重相関計数は0.76であった.
以上のことより透析量の増大は蛋白異化を亢進し, 平均尿索濃度を上昇させる. 従って透析効率を必要以上に上昇させることはかえって好ましくないことが示唆された. また重回帰分析の結果では, kt/vは血流量の影響が大であり, 膜面積にはあまり左右されなかった. 目標とされるkt/vは1.0-1.2であり, この透析量を得るには膜面積が0.02-0.025m
2/kgで血流量を3.0-3.5m
l/min/kgに設定することで十分である.
至適透析には, 過不足のない透析量の設定が重要であることを再確認した.
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