本研究では、土地区画整理事業における事業後のタウンマネジメントの展開手法を明らかにすることを目的に、街づくりのノウハウの無い地権者が区画整理を推進し、事業後のタウンマネジメントに関与してきた実績のある、川崎市麻生区新百合ヶ丘地区に着目し、地権者の動向を分析した。区画整理を主導した地権者らは、区画整理竣工後も離散せずに、保留地処分で得た残余金を基金とした財団を設立した。この基金によって、事業後のタウンマネジメント活動は資金面でサポートされた。区画整理という街の大きな変化の前後で断絶なく、地権者が中心となって、行政、専門家、地域外資本、新住民らと協力して街づくりを展開しており、このことは街の持続的発展に重要な役割を果たしていることが明らかになった。
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