火成岩の分析値を従来の研究から集めて,SiO
2-logNi,SiO
2-log Co,logNi-log Co図にプロットしたところ,大陸産岩石は高ニッケル側を,海洋産岩石は低ニッケル側を占めた.両者め境界は,SiO
2-log Ni図で,SiO
2=40%,Ni=900ppm,およびSiO
2=70%,Ni=9ppmを通り,またlogNi-log Co図ではCo/Ni=0.16という比を与える.大陸産岩石のうちいくつかのデータは海洋産岩石が占める領域にプロットされるが,それらには生成当時の環境が海洋性であったとみられるものが多い.キースラーガーや黒鉱など,日本の層状鉱床に伴う海底火山岩類は,ニッケルの地球化学に関し,海洋的性質を示す.一方,片麻岩中に産するカンラン岩は大陸的性質を示す.これらのことから,火成岩中のニッケル量をもとにマグマ活動の地質環境を推定することが可能であると結論できる.
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