人々の働き方やライフスタイルを変化させたCOVID-19の流行は、テレビが提供する笑いの内容にどのような影響を与えたのか、「人生」をテーマとするNHK総合の番組『
LIFE
!~
人生に捧げるコント
~』を事例に分析、考察した。
分析の結果、コントの場面や登場人物の設定に流行前後で変化が見られ、仕事や家族に関連する描写の増加と店に関連する描写の減少は、「不要不急の外出の自粛」が呼びかけられた社会状況が映し出されていたほか、題材に「新しい生活様式」の影響が見られるコントが制作されていた。また、流行後の社会に生きる人々の心情や考え方が反映されたコントや、視聴者への力を合わせて乗り越えようというメッセージが込められたコントもあった。一方で、医療体制をはじめとする深刻な変化やコロナ禍における不安などのネガティブな感情を笑いにする傾向はみられなかった。番組はコントを通じて困難そのものではなく、社会や人々の心情を間接的に、笑いとともに描くことで視聴者を励ましたといえる。
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