本研究の目的は,都市一般住民を対象に,ホープ尺度の口本語版Herth Hope Index(HHI)12項目の信頼性および妥当性を示した上で,HHI得点とその関連要因について明らかにすることである。東京都N区と埼玉県T市在住の20歳以上70歳未満の男女各300名計600名を対象に,無記名自記式質問紙での郵送配票調査を実施した.分析対象者は255名,有効回収率は46.2%であった.日本語版HHI12項目は,Cronbachα 係数0.89,確証的因子分析により3次元性が示され,生きがい感とベネフィット・ファインディングと強い正の相関が認められたことから,信頼性と構成概念妥当性は概ね示されたと言える.HHI平均得点は35.5点であった.HHI得点の関連要因の検討のため階層的重回帰分析を行った結果,年齢が高い人ほど,配偶者がいる人で,ソーシャルサポートを提供してくれる人が十分にいる人でHHI得点が有意に高かった.また,年齢が若い人は,ソーシャルサポートの受領が十分に得られることで年齢が高い人と同じレベルのHHI得点を維持している可能性,女性は男性に比べて,ソーシャルサポートの受領がより十分に得られていることによってHHI得点が男性より高くなっている可能性が示された.逆境経験と病い経験とは有意な関連は見られなかった.以上より,重篤な病いをもつ人々を対象とした先行研究と比べると,本研究では,一般住民のHHI得点は決して高い値ではないこと,HHI得点の特有の関連要因として年齢があげられること,ソーシャルサポートの受領はHHI得点に対して媒介効果をもつことが明らかになった.
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