電子部品を大量に使用するメカトロニクス機器では, 配線の合理化設計が必要である。ロボット・マニプレータでは, 手先部に多くのセンサやアクチュエータなどを搭載するため, それらの部品と制御器とを結ぶ大量のワイヤハーネスが存在し, これが将来のロボットの高機能化を考える上で, 重大な問題となる可能性がある。著者らの開発した自律分散型マニプレータでは, 関節ごとに計算機を組み込み, ロボット内ネットワークでそれらを結合することにより, 機器内部の配線削減を行っている。
本マニプレータは, 4自由度の関節部と6自由度の指部に高能力な制御用の組み込み計算機を有し, それらを結ブループネットワークを用いて, リアルタイムの動力学計算を実行することが可能である。
組み込み計算機は, 2台の16ビットマイクロプロセサと, ゲートアレイを用いた高速通信制御回路などから構成され, これらを4枚のハイブリッドICに集積化することで小型化を図っている。また, このハイブリッドICを搭載したジュラルミン基板を構造材や放熱器と一体化する形態としており, 総合的な高密度実装を考慮している。
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