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  • ─ EBPM(evidence-based policy making)のススメ ─
    三輪 芳朗
    経済学論集
    2022年 83 巻 2-3 号 17-84
    発行日: 2022/01/29
    公開日: 2023/09/20
    ジャーナル フリー

    2016年1月の安倍総理の発言とともに「『同一労働同一賃金』は突如として非正規格差問題解決の政治的スローガンになった」(神吉,2019,89頁).このスローガンの下に推進されることとなった「政策」の中核は,「非正規格差問題解決」であり,「正規雇用労働者」と「非正規雇用労働者」の間に存在する処遇面での「格差」「問題」の「解決」である.

    この「政策」は,その実質的内容のみならず,目的と目標,政策手段,各「政策手段」の期待される有効性,有効だと判断し期待する論拠と証拠,さらに「政策」実施とともに予想される各種の弊害・コストなどについて,不明確・不透明な点が多い.「いつ,どこで,誰が,何を決めたのか?政策として具体的に何を実施しているのか?鳴り物入りでスタートして本格的に実施されているはずの政策の実質・実態は何か?」と考え始めた読者を,「いったい何が始まったのか・・・・・・」と困惑させるだろう.

    この「政策」に見る,「曖昧であり漠然としすぎて,誰にも容易には手をつけられない」不安・不満を多くの国民に抱かせるという「特徴」は日本の政策形成(policy making)の中で特別・特殊・特異ではない.2016年頃から政府の基本政策として採用・推進が本格化したEBPM(evidence-based policy making)の観点からみると,この政策は,EBPMの適用が最優先されるべき「教科書的事例」にあたり,EBPM推進のモデルケースになり得ると考えて「EBPMのススメ」を副題とした.政策の具体的内容の決定に際して依拠した論拠と証拠を国民に明示し,理解と批判的検討・見直し,さらに再設計と代替策の提案などを実質的に可能にするように政策決定(policy making)過程の変革を求める必要がある.それ以外に,現状のような事態およびその再発・継続の回避・防止は期待できない.

    (日本を含む)先進諸国で急速に進行してきたworking-time practices等での「the diversityの展開」を無視し,現状固定,さらに逆行する多様な施策を政策として推進しつつある政府には「正規雇用労働者」・「非正規雇用労働者」間の処遇面などでの「格差」「差別」などの表現を使用しないように求めることも適切かもしれない.

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