目的: 有床義歯補綴治療に際し, 義歯支持組織のバイオメカニクス特性である「粘膜硬さ」は主に触診による術者の主観的感覚で診査され, 再現性や普遍性に問題があるため客観的評価は極めて重要である. 粘膜硬さの客観的評価法を確立するため, 触覚センサープローブの固定方法と接触角度が計測値に及ぼす影響を明らかにし, その補正方法を模索することを目的とした.
方法: 4種類の擬似粘膜を製作し, 各種条件下で弾性率を計測した. 触覚センサーの接触角度の規定とプローブ先端の滑り防止を目的としたプローブガイドを製作した. 接触角度固定方法, プローブガイドの装着による計測値への影響を分析した. また, 同意の得られた有歯顎者1名の義歯支持軟組織の硬さを計測した.
結果: 全ての計測結果において大きなばらつきはなく, 30°に傾けた時の弾性率は0°よりも大きな値を示した. 三元配置分散分析より擬似粘膜, 接触角度固定方法は全て有意であった (P<0.01). 接触角度の違いによる弾性率の関係は直線関係を示し, その回帰式より30°に傾けた時の弾性率から0°で計測した時の弾性率を16%以内の誤差で推定できることが示された.
結論: 触覚センサーシステムを用いた義歯支持軟組織の弾性率計測時の触覚センサープローブ接触角度と固定法による影響が明らかになった. 回帰式による補正を行い弾性率を算出することで, 硬さを客観的に評価できる可能性が示唆された.
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