長野県伊那谷北部で同所的に生息するダルマガエルとトノサマガエルについて,日周・季節的および空間的な繁殖活動を調査した.両種の繁殖期は,5月中旬から7月上旬にかけての約2ヵ月間におよんだ.両種のオスは日没から翌朝にかけて活発に活動したが,抱接状態のペアは主に早朝に観察された.両種のオスの活動は,よく似た季節的な変動を示した.両種のオスは,ともに集まり合って混合コーラスを形成する傾向があった.オスの鳴く場所や産卵場所に,種間ではっきりとした違いがなかった.これらの観察結果は,両種間で繁殖活動に大きな時空的な違いがないことを示している.
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