【目的】加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)に対するブタプラセンタエキスの機能性を探索することを目的に,ブタプラセンタエキスを含有する試験食(JBPプラセンタゼリーピュア®,日本生物製剤)を用いて,介入群のみの単群オープン試験を実施した.併せて血液学的検査などで継続摂取に対する安全性を評価したので報告する.
【方法】AMSスコアが27点以上の軽度以上のLOH症候群と判定される健常男性15人に,ブタプラセンタエキス3 gを含有する試験食を毎日経口摂取するよう指示した.摂取前,摂取4週後,摂取8週後にAMSスコア,性ホルモン,生化学検査,血算,一般尿検査を行った.併せて摂取期間に発生した有害事象を集積した.
【結果】試験食と因果関係なしと判定された1名の脱落があったため,14名を解析対象集団とした.被験者の年齢は62.6±3.6歳(40~84歳)であった.AMSスコアは摂取前44.0±3.5に対し,摂取4週後は41.2±2.5(p = 0.451),摂取8週後は34.6±2.4(p = 0.007)であり,摂取8週後で有意に低下した.
AMSスコアを「心理的因子」「身体的因子」「性機能因子」の3つのサブスケールに分けて解析した.身体的因子は摂取前18.8±1.3に対し,摂取8週後14.1±1.0(p = 0.002)と,総スコア同様摂取8週後で有意にスコアの低下がみられた.心理的因子,性機能因子でのスコアの有意な低下は見られなかった.摂取による性ホルモンの有意な変動はみられなかった.クレアチニン,LDLコレステロールの有意な低下がみられたが,その他の生化学検査,血算,一般尿検査も有意な変動はみられなかった.試験食の摂取との因果関係が疑われる有害事象の発生はなかった.
【結論】中高年男性における8週間のブタプラセンタエキスの経口摂取は,AMSスコアを有意に低下させたことから,LOH症候群の諸症状の改善に対する機能性を有している可能性が示唆された.摂取4週後で有意な変化は見られなかったことは,プラセンタエキスはLOH症候群の諸症状に対し穏やかに作用することを示唆している可能性がある.
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