本研究の目的は, カテゴリー化を引き起こす刺激手掛かりが, 対人記憶と印象評定に及ぼす効果について検証することであった。Taylorら (1978) によって開発されたパラダイムに基づいて2つの実験が行なわれた。実験1では, 被験者にグループ・ディスカッションを提示するさいに, テープレコーダーとスライドを用いて, 被験者に話し手の声と顔写真が示された状況で行なわれた。そこでは, 話し手の性別と, 発言内容の性度とが 独立に操作されていた。実験2では, 話し手の声や顔写真の情報を被験者には与えず, 話し手の性別に関して性別ラベルのみを提示することで, 性別手掛かりが低減させられた。結果は, 対人記憶での効果は2つの実験を通じて変化しなかったことに対して, 印象評定での効果は2つの実験で明瞭に異なり, 実験2では話し手に 対する印象評定は, 発言内容の性度によって規定されていた。結果は, 2つの課題の独立性, 話し手の性別によって引き起こされるaccentuation (強調化) 効果の普遍性, 自動的処理とコントロール処理といった事項と関連づけて考察された。
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