高純度アルミニウム中の微量元素の分析法について，化学結合型シリカゲルを用いた固相抽出分離を前処理法とし，誘導結合プラズマ質量分析法（ICP-MS）で定量する方法の確立を目的として，最適分離条件等の検討を行った．試料を水酸化ナトリウムで分解し，硝酸を用いて酸性にした試料溶液に0.01 M 1,10-フェナントロリン溶液15 mlを添加し，pHを3.0に調整した．この溶液を0.5 gの固相抽出剤に通すことにより目的元素を1,10-フェナントロリン錯体として固相抽出剤に保持させ，マトリックスから分離することができた．固相抽出剤に保持した目的元素は6 M硝酸15 mlにより溶出できた．得られた溶液から目的元素をICP-MSで定量した．その結果，Fe，Ni，Co，Cu，Zn，Ag，Cd，Ga及びInの9元素について検出限界（空試験値の3σ，試料はかり取り量1 gの場合）Fe: 0.69，Ni: 0.89，Co: 0.38，Cu: 3.66，Zn: 1.68，Ag: 0.62，Cd: 1.74，Ga: 1.13及びIn: 0.08 ppbの分析法を確立した．
