分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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総合論文
  • 岩井 貴弘
    原稿種別: 総合論文
    2022 年 71 巻 7.8 号 p. 377-390
    発行日: 2022/08/05
    公開日: 2022/09/05
    ジャーナル フリー

    近年の再生医療における病理研究,ナノテクノロジー,法科学研究などの進展に伴って,幅広い分野において微少量の試料を高感度に分析する技術の開発が求められている.そこで著者は,室温から数千度までの様々な温度の大気圧プラズマを駆使して,微少量試料のための新しい無機・有機分析システムを開発し,様々な分野への応用研究を行ってきた.まず,分析対象の表面に付着している微少量物質の高感度分析を実現するために,手で触れられるほど低温かつ照射対象物に放電損傷を与えない大気圧プラズマを表面付着物の脱離・イオン化に応用した,大気圧プラズマソフトアブレーション法(Atmospheric Plasma Soft Ablation, APSA)を世界で初めて提唱した.この手法の開発により,生体等の熱に弱い分析対象の表面に付着している微少量物質の無機・有機分析が可能となった.さらに,一つの微粒子や一つの細胞に含まれる主成分からアトグラム(ag: 10−18g)オーダーの極微量元素までの分析を目標として,ドロプレット試料導入法,高速信号取得・処理法の開発に携わり,誘導結合プラズマ質量分析装置(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometer, ICP-MS)や高出力パルスマイクロプラズマ励起源と組み合わせることで一粒子・一細胞分析システムの構築を行った.その結果,単一細胞中の微量元素分析に必要なagオーダーの検出下限値を達成することに成功した.本稿では著者がこれまでに開発してきた微少量試料分析システムとその応用研究について報告する.

  • 福山 真央, 火原 彰秀
    原稿種別: 総合論文
    2022 年 71 巻 7.8 号 p. 391-397
    発行日: 2022/08/05
    公開日: 2022/09/05
    ジャーナル フリー

    近年,マイクロメートルサイズの油中水滴(マイクロ水滴)を反応場として利用し,微小・微量試料をハイスループットに計測する技術が注目を集めている.マイクロ水滴内に微量の試料や試薬を閉じ込めることで,拡散希釈を抑制しながら反応・検出をすることができる.しかし,これまでマイクロ水滴内包物の分離・精製技術についてはほとんど報告がなく,マイクロ水滴内で実現可能な分析手法は限られていた.そこで著者らは,マイクロ水滴 – Span 80 – アルカンの系で起こる自然乳化におけるマイクロ水滴–逆ミセル間の分子輸送に着目し,マイクロ水滴内包物の選択的濃縮法を開発してきた.本稿では,自然乳化によるマイクロ水滴内選択的濃縮法について概説したのち,自然乳化における分子輸送メカニズムの詳細と本手法の制御因子について説明する.さらに,本手法の生化学分析への応用を紹介する.

  • 稲川 有徳
    原稿種別: 総合論文
    2022 年 71 巻 7.8 号 p. 399-409
    発行日: 2022/08/05
    公開日: 2022/09/05
    ジャーナル フリー

    相分離は,物質の相転移に伴い均一相が複数の相に分離される現象である.分析化学においても,前処理方法の強力なツールとして用いられてきた.一方で,相分離により生じる構造的な特性は,材料科学のみならず生命機能の発現などにも強く関与し,その構造物性の評価は幅広い分野において重要な役割を示す.著者はこれまでに水溶液の相分離により生じるナノ・マイクロ構造を分離・計測場として利用する新たな手法論を確立し,これらの空間のキャラクタリゼーションを行ってきた.本稿では,水溶液の凍結に伴う相分離により生じたナノ・マイクロメートルサイズの液相や固液界面を中心に,それらの物性計測とナノ・マイクロ構造を利用した分離・計測手法への展開の二つの観点から,著者らのこれまでの研究内容について包括的に議論する.

報文
  • 清水 克敏, 伊藤 正人
    原稿種別: 報文
    2022 年 71 巻 7.8 号 p. 411-415
    発行日: 2022/08/05
    公開日: 2022/09/05
    ジャーナル フリー

    UHPLC(Ultra High Performance Liquid Chromatography)の高速特性と高分離特性を同時にグラフに表現することにより,その相反関係がわかってきた.しかし,UHPLCが高感度特性にも貢献すると言われているにもかかわらず,その理論的な定式化や可視化は進んでいない.本報では分離後,紫外吸光光度検出器のフローセル内の溶質濃度の高いほうが,低い検出限界が得られるため,高感度特性を有する状態と考えて定式化した.その結果,セミミクロLCに代表されるようなカラム断面積縮小の効果以外に,圧力と粒径に関するUHPLC特有の作用があることがわかった.また,高長積と呼ぶ感度特性のΣを導入し,Σを三次元グラフに表示することにより分離特性と感度特性も相反することがわかった.

  • 能勢 隆大, 西島 喜明
    原稿種別: 報文
    2022 年 71 巻 7.8 号 p. 417-423
    発行日: 2022/08/05
    公開日: 2022/09/05
    ジャーナル フリー

    著者らは,流体力学に基づいたシミュレーションにより,マイクロ流路への応用に向けたテスラバルブの設計と評価を行った.テスラバルブは非機械式の逆止弁構造であり,マイクロ流路内での試料のコンタミネーション防止に大きく寄与できると期待される.本研究では,マイクロ流路への適応を想定し設計を模索することで,これまで提案されているテスラバルブ構造よりも,高性能な逆止弁効果が得られるテスラバルブ構造を見いだすことに成功した.さらに,テスラバルブ構造に加えて静脈弁構造の逆止弁構造を組み合わせることにより,逆流抑止効果が高まることを見いだしたので報告する.

技術論文
  • Rimba CHRISTOPHER IMANSANTOSO, 吉﨑 由美子, 奥津 果優, 髙峯 和則
    原稿種別: 技術論文
    2022 年 71 巻 7.8 号 p. 425-430
    発行日: 2022/08/05
    公開日: 2022/09/05
    ジャーナル フリー

    近赤外線分光分析計(NIRS)による焼酎もろみのアルコール度数の測定と測定精度の確認のために,従来法であるD-OD法との比較を行った.焼酎製造に一般的に用いられる3種類の麹(こうじ)(黒麹,白麹,黄麹)並びに2種類の主原料(米,サツマイモ)を使用したもろみ6種類を作製し,発酵日数ごとにアルコール度数測定をNIRS並びにD-OD法で行った.NIRS測定に用いる焼酎もろみの調製方法としては,ガーゼろ過ではろ液の濁りが強いことが影響して測定を行うことができず,ろ紙ろ過またはメンブレンフィルターによるろ過を行うことが必要であった.もろみアルコール度数の測定値は,NIRSとD-ODでほぼ同じ値を示し,非常に高い相関を示すことが確認された.さらにNIRSによる測定値の誤差はD-ODよりも小さいことが確認された.したがってNIRSは,簡便かつ精度の高い焼酎もろみのアルコール度数測定法として有効的であった.

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