抄録
生体中に存在するアミン類やアミノ酸の光学異性体分析のための新しい不斉誘導体化試薬(+)-MNBカルボン酸の開発を行った.分子設計は,これまでの試薬に比べて非常に高い光学異性体分離能を示すこと,並びに微量HPLC分析を可能とする強い蛍光を有することの2点を特に考慮した.その結果,1,3-ベンゾジオキソール骨格のC-2位にβ-ナフチル基とメチル基を有するMNBカルボン酸(2-Methyl-2-β-naphthyl-1,3-bcnzodioxole-4-carboxylicacid)を創案し,実際に市販の原料から(+)-体の分析試薬を合成するルートを開発した.本試薬は310nmの励起光に対し,370nmに強い蛍光を有すること,更に各種のアミノ酸に対してRs、値で5以上(逆相HPLC分析)の極めて高い光学異性体分離能を示すことが明らかとなった.この高い光学異性体分離能と,強い蛍光性を利用してD,L-アミノ酸を効率よく分析するHPLC法を確立した.