分析化学
Print ISSN : 0525-1931
試料電解を用いた誘導結合プラズマ発光分析法による鋼の迅速分析
近藤 裕之小野 昭紘植村 健南 孝明
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 45 巻 8 号 p. 777-782

詳細
抄録

電解液を一定流量で送液しながらブロック状鋼試料を電解し電解液をICP発光分析装置のプラズマへ導入することにより,迅速に分析するシステムを開発した.試料設定後,一連の操作をパーソナルコンピュータにより自動制御した.分析所要時間は1試料当たり約60秒であった.本システムを用いて鉄鋼認証標準物質を分析した。試料中に炭化物や窒化物等の難分解性化合物として存在する可能性のあるチタンを定量するために,最適な電解液組成や電解電位について検討した.塩酸+硝酸+水(1+1+2)の混酸を電解液とし,0.8~1V(vs.Ag/AgCl参照電極)で定電位電解することにより,低合金鋼の各試料中のチタンについても他の微量共存成分とともにほぼ認証値と一致する定量値を得た.又,高含有率のケイ素(約3mass%)も加水分解による析出が起こらず他の成分と同時に定量可能であった.

著者関連情報
© The Japan Society for Analytical Chemistry
前の記事 次の記事
feedback
Top