1999 年 48 巻 4 号 p. 421-427
高純度鉄中のMoを水酸化鉄沈殿法,陽イオン交換クロマトグラフィー及びリンモリブデン酸アンモニウム沈殿法を伴う放射化学中性子放射化分析法(RNAA)を用いて定量した.試料0.1gをTRIGA-II及びJRR-3Mで6時間照射を行った.照射後の試料に化学分離操作を行い,マトリックス元素であるFeから生成された59FeとMoの分析目的核種である99Moを分離し,99Moの検出感度を高めγ線測定を行った.Mo含有量が微量なため認証値が求められていない3種類の高純度鉄標準物質(JSSS003-4,JSS001-3,JSS001-4)すべてを定量でき,JSS003-4では670±12ppb(参考値0.7ppm),JSS001-3では8.4±0.3ppb,JSS001-4では11.0±0.5ppbを得た.定量下限値は0.4~2ppb程度であった.