CHEMOTHERAPY
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本邦における多剤耐性黄色ブドウ球菌の現況1986年から1988年にかけての分離状況と18抗菌剤に対する感受性
後藤 元後藤 美江子岡 慎一島田 馨清水 喜八郎五島 瑳智子上野 一恵原 耕平
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1989 年 37 巻 11 号 p. 1334-1341

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抄録

多剤耐性黄色ブドウ球菌, いわゆるMRSAの我が国における分離ならびに耐性化の現況を明らかにするため, 1986年から1988年にかけて全国18大学附属病院および1都立病院の協力を得て実態調査を施行した. 調査期間中に分離されたStaphylococcus aureus902株中436株 (48%) がMRSAであった. その比率は膿検体において高く (58%), 一方耳漏では33%と低値であったが, 後者では外来由来株が過半を占める点に特徴がみられた. これらのMRSAは, 明らかな多剤耐性化傾向を示し, 今回検討した18抗菌剤のうち, rifampicinおよびvancomycinを除く16薬剤中10剤以上に耐性を獲得した菌株が67%を占めた. β-ラクタム剤のMRSAに対する抗菌力は, おおむね不良であったが, dicloxacillinについては耐性株はいまだ25%に留まっていた. β-ラクタム剤以外では, habekacin, minocycline, ofloxacin, rifampicinおよびvancomycinの5薬剤が各々MIC801.56μg/ml, 3.13μg/ml, 1.56μg/ml,<0.1μg/ml, 1.56μg/mlと優れた抗MRSA活性を示した.

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© 社団法人日本化学療法学会
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