日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
終末期医療·看護教育に関する医学生の意識調査
平川 仁尚益田 雄一郎葛谷 雅文井口 昭久植村 和正
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2007 年 44 巻 3 号 p. 380-383

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抄録

緒言 終末期医療·看護に関する教育が重要になってきているが,わが国では教育プログラムの整備が遅れている.本調査は終末期医療·看護に関する教育プログラムを開発するための基礎資料を得ることを目的に実施された.方法 2004年3月に,全国の医学科79校のうち,協力が得られた16校の5年生もしくは6年生の全員を対象にアンケート調査を実施した.調査時期は2004年4月から2006年3月までとした.調査票のなかで,終末期医療·看護の授業を受けている学生には,授業·実習で学習した内容·受けてみてよかった内容と受けてみてよかった授業の形式について質問した.授業を受けていない学生には,授業·実習で学習してみたい内容と希望する授業の形式について質問した.また,全員に対して,終末期医療や看護に対する関心·自信と終末期医療·看護の授業の必要性について質問した.結果 1,039人(入学定員の68.8%)の学生から回答を得た.授業内容について,授業を受けた学生の間で満足度が高かったのは「患者とのコミュニケーション技術」や「患者·家族に対する心理的サポート」であった.また,授業を受けなかった学生の間でもそれらの内容を聞いてみたいという希望が多かった.希望する授業形式について, 「講義」の他に, 「ホスピス訪問」や「患者の話を聞く」が多かった.終末期医療·看護に関する関心について,両群とも「ある程度」あると回答した学生が最も多かった.また,終末期医療·看護を行う自信について,両群とも「中間」「あまりない」と回答した学生が多くみられた.授業の必要性については,両群ともほとんどの学生が感じていた.結論 終末期医療·看護教育プログラムの導入とその内容の検討が急務と考えられた.

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© 2007 一般社団法人 日本老年医学会
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